不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~
「あぁっ!ま、待ってください、梶先輩ーっ」
「棗様ぁー!!」
その直後、さっきまで梶先輩の試合に熱烈的な愛とコールを送っていた応援団の女子生徒の方々が先輩目がけて押し寄せてきた。
「え、塩分ならここにあります!塩チョコレートですっ」
「棗様は今甘いものは嫌だと言ったじゃない!チョコレートなんて甘ったるいに決まってんでしょ!あの、私はバスソルトを持ってきました!今晩ぜひ…」
「梶様!実家で絞ったミカンジュースです!よかったら…」
「棗先輩!手作りのタオルです!使ってください!」
アイドル顔負けのプレゼントの量だった。
これが世間一般に知られた人気芸能人だったら…。
そう考えると、プレゼントにお手紙に……、
芸能人も大変だな…。
「ありがとう。役員でいただくね」
なんて客観的に眺めていると、例のにっこり笑顔でそれらを受け取る梶先輩。
あたしが校正会室へ連れていかれた時に初めて見せられた、あの繕った笑顔だ。
甘ったるくて優しくて、ちょっとだけ渋い笑顔。
だけどここにいるファンの皆さんは、その小さな違いに気が付かない。