不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~
この姿を見たことはなかったけど、この雰囲気ですぐにわかった。
いつも彼女が身に着けていた香りが漂ってくる。
「……光…」
「早く乗れよ。遅刻したいわけじゃねぇんだろ…」
「……うん」
長かった髪をばっさり切って、髪はミルクティー色から金色に染まってる。
今まではあたしと同じ制服に身を包んでいたのに(崩してたけど)、今日は違った。
梶先輩やオミ先輩、総也や稟が着ているブレザー。不覚にも、よく似合っている。
「やっぱり男の子なんだね。光は」
「……まぁ、な」
本当なら有り得ない。
男の子のバイクに乗り込むなんて。
だけど、こんなに自然に跨れるのは、今まであたしに見せてくれていた安心感が、今も変わらず光を包んでいるから。
いつもよりも広く感じる背中にちょっと違和感を覚えるけど…。
「光は、光、なんだよね。今まであたしに優しくしてくれたのも、今こうして遅刻しそうなあたしを助けてくれてるのも、全部光なんだよね」
「………」
あたしの小さな言葉は、風を切って発進した大きなバイクのエンジン音に消える。