不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~
*双子の悩みごと*
*
「え?光が女装してる理由?」
その日の放課後、稟に言われて思い出したことを、校正会室で2人きりになった時に光に聞いてみた。
「うん。いやその、言えないなら無理に言わなくていいんだけどっ」
「いや、別に紗雪になら言ってもいいけど」
光は授業終わりに買ってきたショートケーキを口に含みながら、ぺろりと舌舐めずりする。
「光は1人っ子だったんだけど、光のママはちょっとうつ病もちでね」
「うん」
「ずっと女の子が欲しかったんだけど生まれた子は男の子でさ。光の両親は光がデキたのと同時に離婚してるから、母親が光を1人で育ててくれたんだけど」
「うん」
ショートケーキを一口ずつ口に運びながら、光は少しだけ悲しそうに笑って話す。
「光ね、手のかかる子どもだったんだぁ。ミルクはなかなか飲まないし、夜泣きもひどかったらしくて。育児に疲れ切って、光、1回捨てられかけてさぁ」
「え……」
いつも明るく振る舞っていた光の過去に、そんな暗いものがあったなんて、あたしは全く知らなかった。