不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~
校正会室が静まり返る中、稟は荷物をカバンに整理して、唯一梶先輩だけに一礼した後、部屋から出て行った。
「な、何なのよあの小生意気なガキはぁ…」
光が「可愛くなぁい」前にも言っていたような皮肉を吐いて、稟の出て行ったドアを鋭く睨みつける。
ガキって言っても、年齢的には同い年なんだけど。
「ちょっと棗ぇ。光は納得できなぁい!だってあの単純運動バカの総也がピアノだよぉ?絶対似合わないしぃ」
「似合う似合わないの問題ではないだろ」
「な、なぁにそれー。棗まであのバカ双子の味方なのぉ?」
梶先輩は光から目をそらして、飲みかけの珈琲をテーブルに置く。
こう見ると本当にただの高校3年生には思えないな…。
なんて、つい関係のないことが頭をよぎった。
「光はもうちょっと落ち着けよ。俺たちが卒業した後、この学校を引っ張って行くのはお前たち2年生なんだぞ」
オミ先輩に注意を受けて、「わかってるけどぉ…」光はしゅんと肩を落とす。
ただ心配してるだけなんだよね、光は。
あたしだって、皆と過ごしてきた時間はまだ短いけれど、その気持ちは痛いくらいわかる。
どうすることが、1番いいのか…。
稟がさっき言った通り、黙って2人のことを見守るのが、本当に最善の、あたしたちにできる術なのかな…?