不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~



校正会室が静まり返る中、稟は荷物をカバンに整理して、唯一梶先輩だけに一礼した後、部屋から出て行った。




「な、何なのよあの小生意気なガキはぁ…」



光が「可愛くなぁい」前にも言っていたような皮肉を吐いて、稟の出て行ったドアを鋭く睨みつける。




ガキって言っても、年齢的には同い年なんだけど。




「ちょっと棗ぇ。光は納得できなぁい!だってあの単純運動バカの総也がピアノだよぉ?絶対似合わないしぃ」


「似合う似合わないの問題ではないだろ」


「な、なぁにそれー。棗まであのバカ双子の味方なのぉ?」




梶先輩は光から目をそらして、飲みかけの珈琲をテーブルに置く。



こう見ると本当にただの高校3年生には思えないな…。


なんて、つい関係のないことが頭をよぎった。




「光はもうちょっと落ち着けよ。俺たちが卒業した後、この学校を引っ張って行くのはお前たち2年生なんだぞ」



オミ先輩に注意を受けて、「わかってるけどぉ…」光はしゅんと肩を落とす。




ただ心配してるだけなんだよね、光は。


あたしだって、皆と過ごしてきた時間はまだ短いけれど、その気持ちは痛いくらいわかる。




どうすることが、1番いいのか…。


稟がさっき言った通り、黙って2人のことを見守るのが、本当に最善の、あたしたちにできる術なのかな…?



< 250 / 302 >

この作品をシェア

pagetop