不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~
「出せ」
「了解しました」
梶先輩が言うと、男性は静かに車を発進させた。
「梶先輩…?どちらに行かれるんですか?」
「………」
相変わらず何を聞いても先輩が答えを教えてくれる様子はない。
ただ黙って目を閉じてそこに座っているだけだ。
あたし…どこに連れていかれるんだろう…。
過去の嫌な記憶が一瞬だけ、脳裏によみがえる。
違う。相手は梶先輩だ。
あたしを危険な場所に連れて行ったりなんかするわけない。
「どうした」
「……え?」
「顔が青い。何か嫌なことでも思い出したか?」
伏せられていた先輩の長いまつ毛があがって、その澄んだ瞳があたしを真っ直ぐに見つめていた。
その茶色い目を見ると、何だか胸が締め付けられたように離せなくなる。
あたしは、この目が苦手だ。