不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~
車が動き出す。
さっきまで見えていた大きな校舎はあっという間に見えなくなった。
「貴城第一音大って、あたしでも聞いたことある…」
「音楽を志す者ならば誰もが入学を希望する厳正な推薦入試のみを受験方式とした音大だ」
「えぇぇ…!そんな凄い大学の推薦状、ですか…?そ、それってもしかして、総也と稟に…!?」
「まあ、これはおとりだけどな」
おとり…?
梶先輩の言おうとしていることの意味がいまいちよくわからない。
それに、自分で言っといて何だけど、どうして総也と稟あての推薦状を翔陽高校の会長さんに渡す必要があるんだろう。
先輩は一体、何をしようとしているのかな。
そもそも何のおとり?
それに音大って…。総也と稟は音楽の道は目指してないんじゃなかった…?
わからないことだらけだ。
「到着いたしました」
あたしが頭を悩ませるのと同時に流れていた景色がぴたりと止まった。