不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~
ガチャ、と隣の部屋のドアの開く音がきこえた。
「……何であんたがいるの」
最近は聞いたり聞かなかったりするその声の主はもちろん、この家に住むもう1人の男の子だ。
「稟!」
「光たちはいないんだ。押し掛けてきたってわけではないみたいだね」
「うん。あたしもまさか2人の家に来ることになるとは思ってなかったし…」
稟は伏せ目がちに視線を落として何も答えない。
だけど顔には、“面倒臭い”はっきりとそう書いてある。
「稟。どっか行くのか?」
「別に。練習に疲れたから飲み物でも飲みに行こうと思ってただけだけど」
「稟……」
稟は総也が何かを言おうとしているのを目で制して、そのまま1階へおりていった。
今のって……?
あたしは事情が掴めずに総也を見やる。
「とりあえず俺の部屋に行かね?ここはピアノしかねぇから」
「わかった」
総也はピアノに楽譜を残したまま、自分の部屋へとあたしを案内した。