不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~
ゆっくりと、
黒く、光沢のあるその椅子が回転する。
それと同時に今まで見えていなかったその人の表情が、瞳が、俺たちを静かにとらえる。
この時、初めてあの人と顔を合わせて、俺はひどく驚いたものだった。
繊細で優美で、
だけどどこか影を潜めたような、うつろな目をしていた。
儚くも美しい花のように。
まるで、春の宵に舞い散る夜桜のようだと、柄にもないことを思う。
「………」
すっとあげられた視線に、いつもはぺちゃくちゃうるさいあの総也ですら、息をのんでいた。
女みたいに、まつ毛が長い。
女みたいに、肌が白い。
女みたいに、体が細い。
だけど底知れない何かをもっている目をしている。
俺はこの時、生まれて初めて人間を包むという“オーラ”の存在を身をもって知った。
「あ、あんた誰だよ…?」
そんな静寂を破ったのは他でもない、俺の双子の兄だった。