不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~



怪訝に奴を見つめる。


一般的な文庫本よりも一回り大きいサイズの本だった。




「ジョーダン・ベッフェルを知っているか」


「は…。知ってるけど…」




突拍子がなさすぎてわけがわからない。



ジョーダン・ベッフェルは偉大なる音楽家だ。音楽一家の両親とは接点だってある。



もちろん、そんな彼のことは知っているけど、どうしていきなり。





ますますこの人のことがその時の俺には理解できなかった。





「ジョーダンさんが最初に書いた本がこれ。題名はないけど、“ちいさな双子のピアニスト”、彼はそう呼んでいた」





奴はそう言って、真っ黒なその本に目を落として、それを抱えたまま俺の前までやってきた。



< 297 / 302 >

この作品をシェア

pagetop