不良校サバイバル~イケメンたちとtrouble days~
怪訝に奴を見つめる。
一般的な文庫本よりも一回り大きいサイズの本だった。
「ジョーダン・ベッフェルを知っているか」
「は…。知ってるけど…」
突拍子がなさすぎてわけがわからない。
ジョーダン・ベッフェルは偉大なる音楽家だ。音楽一家の両親とは接点だってある。
もちろん、そんな彼のことは知っているけど、どうしていきなり。
ますますこの人のことがその時の俺には理解できなかった。
「ジョーダンさんが最初に書いた本がこれ。題名はないけど、“ちいさな双子のピアニスト”、彼はそう呼んでいた」
奴はそう言って、真っ黒なその本に目を落として、それを抱えたまま俺の前までやってきた。