アラビアンドリーム~砂漠に咲いた一輪の薔薇~
 海外旅行初心者なので、個人旅行は難しいと思い、最大手とは言えないツーリスト社だったが、旅行日程のオプション欄に『エルラバドス王国』があり、宿泊宿が『バドーニャ山』近くのオアシスのすぐ側だったので、即決で申し込んだ。

 エルラバドス国は日本と国交が無い訳ではないが、小国という事もあり、今まであまり着目されてない国というイメージが根強く、観光地としてはメジャーではなかった。エルラバドス国自体、今まで観光に力を入れておらず、貿易や産業等を重視してきた事も大きい。ようやく観光に力を入れ始めてきて、僅かではあるが日本人にも知られ始めてきた経緯がある。

 両親には反対された……。
 でも、私の気持ちを汲んでくれて、泣く泣く送り出してくれた。旅費も援助してくれて……。本当に心から感謝している。

「寝たきりになる前に、やりたい事をやらせて!!」の一言が効いたようだ。

 こんな事言って心配かけちゃって……。心の中では何度も両親に謝った。だけど、心の拠所が欲しかった。
 この先どんな恐ろしい事が待ち受けても、恐れずに深い闇に耐えられるような、光が欲しかった。例えそれがぼんやりとした小さな灯火だったとしても……。暗闇を照らしてくれる希望の光が欲しかった。

 今の私の心は真っ暗で……何も見えないから……。折れそうな自分の支えになるような、何かが欲しかった。
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