スリル【TABOO】
 私も彼に背中を向け、弾む鼓動を持て余しながら、先週のことを思い出した。

 京介とは一晩だけだ。つきあってるわけじゃない。
 あの日は飲んでたから。気がついた時には、そうなってたというだけで。

 ドキドキが治まらない。心臓を口から吐き出しそうなほどの緊張。

 徹が戻ってきた。

「どうした? 顔色悪いけど」
 不思議そうに問いかけられ、左右に首を振った。
「ううん。なんでもない。大丈夫よ」

 向かい側に徹が座る。後ろには京介がいる。
 背後が気になって、背中に全神経が集まってくる。

 気が遠くなりそうなほどの緊張で、徹との会話が上の空になりそうで焦る。

 落ち着いて。落ち着いて私。
 必死の時間が過ぎていく。

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