私の太陽はキミ

親友

もう嫌だ…こんな家にいたくないよ……。

誰か…誰か…助けて…っ

「アンタなんかお母さんじゃないし!!私の本当のお母さんを返せ!!」

私は大声でそう言って自分の部屋に駆け込んだ…。
一階からはお父さんの怒鳴り声が聞こえてくる。

そして、私は大きな旅行行きのカバンにいるものや大切にしている物をすべて詰め込んで親たちがいないのを確認してから、そーっと家を出た。玄関に「ほっといて」と置手紙を置いて…。

彼氏もいない私はどこに行く宛てもない。
よし、こういう時は私の親友…綾乃に助けを借りよう。

『ん…もしもし?そらぁ…?』

「やっぱり寝てた?ごめんね、夜中なのに電話なんかして」

『いや、いいけど。どうしたの?ついさっき会ったばっかりじゃん。まさかもう寂しくなった?』

綾乃はそんな冗談を言う。
眠たいのにそんな冗談言わせてごめんね。

「違うよ。私…家出しちゃった……」

『………そっか。じゃあ今から私んトコおいで…』

ポロッ――

綾乃からその言葉を聞いた瞬間、理由はわからないけど涙が出た。

それからおぼつかない足取りで綾乃の家にたどり着いた。
家の前に行くと綾乃と綾乃のお母さんが寒い中、立っていてくれた。

「空!!やっと来た。遅いから心配したじゃんかー」

「空ちゃん、つらかったでしょう。ほら寒から中に入りましょ?」

私の親友と親友のお母さんってホントにいい人だね。
私……全然一人ぼっちじゃないじゃん……。

綾乃の家に入ってリビングに行くと暖かくてホットミルクの優しい匂いがした。

「はい、空ちゃん。これ飲んで温まりなさい」

「すみません。こんな夜分遅くに失礼しちゃって…ホントにごめんなさい」

「もう!空ったらそんなかしこまらないでよ!私に遠慮なんかしたら怒るからね?いつもの元気な空でいいんだよ」

「そうよ?くつろいでいいんだからね?私にも遠慮したら怒るからね?」

「あははっ!」

綾乃のマネをした綾乃のお母さんがすごく可愛くて思わず笑っちゃった。
ほんとにこんな親友に出会えるなんて神様に感謝しないといけないね。

「ちょっとお母さんー私のマネしないでよ!気持ち悪いーー」

「そう?今のお母さんでも結構イケてると思わないー?」

「全然ーー!!気持ち悪いからやめてよねー」

こんな…家族いいな。

もし、私にもお母さんがいたらこういう会話ができてたかな…?

なんで…お母さんが死んじゃったんだろう…。

ねー?どうして?
どうして私からお母さんを奪ったの…?

「えーイケてるよーねー?空ちゃん?…空ちゃん…?」

「あっすいません、ぼーっとしてました!あの、お風呂借りてもいいですか?」

私は普段の自分に戻るようにして言った。

「あ、うん、いいわよ。もうお湯沸かしてるからゆっくり入ってらっしゃい」




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