私の太陽はキミ
あ、そういえば…陽翔の家族のことなんて聞いたことなかったな。
「ねー?陽翔は家族と仲がいいの?」
「んー悪いよ。しかも俺、母親しかいないから」
「え、そうだったんだ。ごめん。なんか変なこと聞いて」
「いや、いいよ。そんな気使われると余計虚しくなる」
「ごめん…」
「ぶっ…だから謝んなって、な?」
「は~い。でもお母さんの話、一回もしないね?」
「うん、だってあんな人が母親だって思ったことないからね」
「どういうこと?…」
これ以上、聞いてはいけない気がする。
だって…お母さんの話をするたびに辛そうな顔をするから。
でも……それでも陽翔のことが気になる。
私、陽翔が辛いってわかってるのに…聞くなんて。
最低だね…。
「俺、母親と一緒に暮らしてたんだけど、ほとんど一人暮らしのようなもんだった」
「え………」
陽翔は…少しづつ話してくれた。
時々、辛そうな…寂しそうな表情をする陽翔を優しく抱きしめてあげたかった。
でも、私にはできない…。
だって……恋人じゃないから…。
陽翔とはそういう仲じゃないから…。
もし、私が告白なんてすると……
この家から、出て行かないといけないのかもしれない。
それは、嫌だ。
あの家に帰るのが嫌ってのもあるけど、
それ以上に陽翔と一緒にいれないのが嫌だ。
だから、私が抱きしめることも、『好き』って言うことも
一生ないんだ。