私の太陽はキミ

出会い

綾乃の家に居候を始めて二ヶ月が過ぎた。

そろそろ、出て行かないとやばいなー。
でも行くとこなんてないし…。

「あはははは!」

綾乃と綾乃のお母さんの楽しそうな会話が聞こえてくる。
時々お父さんも笑っている。

やっぱり…家族で過ごすのが一番だよね……。

ほんとに私、邪魔だな。
どこに行っても邪魔者だよ…。

「綾乃ーちょっと出てくるー」

「えー?こんな時間に?私も行こうか?」

「いや、いいよ。他校の子と話すだけだから…」

「そう?早めに帰ってきなよ?」

「わかってるって」

そう言うとお母さんとお父さんも「気を付けてねー」と笑顔で言ってくれた。

「ふぅ~」

息を吐くと白い空気が夜空へ消えていく。
私もこんなすぐに消えてしまうくらい、……いらない人間なんだろうな。

はぁ~…これからどう時間潰して帰ろうかな…。

綾乃たちの家族だってたまには三人で過ごしたいよね。
ごめんね…私なんかが綾乃の家に転がり込んで。
本当…最低なヤツだよねー…。

「ねーねー今暇ー?俺らと一緒に遊ばねー?」

ぼーっと夜空を眺めていると綺麗な夜空が男たちによってかき消された。

なんなの…この人ら…。
暇だけど体売るほど暇じゃないんでね。

「あー暇じゃないんで…じゃあ」

「ちょっと待ってよ~。明らかに暇じゃん。ほら、俺らと遊ぼうぜ?な?」

「ひつこいな…」

「あ?なんだよ。せっかく優しく声かけてやってんのによ。ほら、早くこいっつってんだろ!」
やばい…っ。この人ら力強すぎ…。どうしよう…振りほどけない…!

「ちょっとやめてよ…っ!離して!!」

「いいから来いって。何~ビビってんの~?可愛いねー」

気持ち悪い…。軽々しく可愛いとか言わないで…。

「おい、やめてやれよ。嫌がってんだろうが」

は?……誰、この人。

「なんだお前?邪魔なんだけど」

「いいから、やめろっつってんだよっ!」

ビクッ――

こわっ…めっちゃ睨んでるし…。

「くそっ…いくぞ」

あ、ナンパの人たち逃げた。
一人相手に二人で逃げるって弱いな…。

「な、大丈夫か?」

私を助けてくれたヒーローは私を見下ろしながら心配した様子で聞いてきた。

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