【続】意地悪なご主人様
「大丈夫ですよ、部長。

オレが連れて帰りますから」

そう言った信也は、

言ったもん勝ち、と言った表情。

・・・

海外企画部の皆は、

オレと夏樹が夫婦だって知らないから、

そうしてくださいと、

口々に言っていた。

・・・

オレは顔色一つ変えない。

いや、

変えられなかった。

・・・

この状況で、

夫婦ですとは、何でか言えなかった。

・・・

何も言わないオレに、

信也は頭を下げると、

夏樹を支え、

店を出ていってしまった。

・・・

しばらくは黙っていたが、

やはり言わなければ。
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