【続】意地悪なご主人様
それはそれは

けたたましい音を立てていた。

・・・

『真鍋さん?!

隣の大西ですけど、どうかされたんですか?』

玄関のドアを勢い良く叩きながら、

隣人の声が、廊下中に

響き渡るくらい聞こえた。

・・・

ハッとした飯田は、

とりあえず私から離れる。

・・・

私は軽く身なりを整え、

玄関を半分開けた。

・・・

「大丈夫ですか?

内に聞こえるほど、

凄い音が聞こえてきたんですけど?」

そう言って心配そうな顔をした大西さん。

・・・

私はニコリと笑顔を作り、

「すみません・・・

季節外れの大きなゴキブリが出て、

主人が不在なもので、一人で

格闘してました」

そう言った。

助けを求めようと思ったけど、

あえてそれはしなかった。
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