翔子の恋
「お前、ここで何してんだ?」
お兄ちゃんは、店と私を交互に見て
焦ったように私の腕をつかんで引っ張って行った。
お兄ちゃんは何も言わずに歩いていたけど
この手から、背中から伝わってくる
私を心配してくれてるって…
お兄ちゃんは鍵を開けて部屋に私を入れた。
「あそこで、何してた?」
怖い顔をして私の肩を掴んだ
「家出してきたの、だけど行くあてが無くて…私、あそこで働くしかないのかな…って……だって…だって……」
お兄ちゃんに会えて安心して
緊張の糸がほどけて涙が出てきた。
「泣くな…」
袖で涙をぬぐって
優しく瞼にキスをした。
「お兄ちゃんに、会いたかった…」
「俺も会いたかった…」
抱き合って、キスをして
私は何ヵ月かぶりにお兄ちゃんの肌に触れた。