翔子の恋



私がまだ綺麗だった頃
まだ腐った自分に気がつかず
能天気に夢を見ていた
中学2年の夏


母子家庭だった私に
初めての父親と兄が出来た。

兄は私より3つ上で
当時高校2年だった。

かっこよくて、優しくて、頭がよくて…
私は初恋をした。


戸籍上では家族だけど
血が繋がっていなければ関係ないと
私は兄にどんどん惚れていった。



そのうち兄も私のことを妹としてではなく
一人の女の子として見てくれる様になった。

私たちは初めて
寒い寒い冬に裸で抱き合った。

恐かったけど、兄が大好きで仕方がなかったから
幸せで心がいっぱいになった。


今まで一人ぼっちだった私は初めて人の暖かさを感じて
初めて嬉し涙を流した。

初めて生きてて良かったと思った。


初めて人に愛されて
人を愛した。

初めてが多すぎて目まぐるしかったけど
私はそんな自分も愛することが出来るようになった。



だけど、幸せは永くなかった。



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