君の左手が気になるのは、なぜだろう?
いつの間にか
試合は終わっていた。

スコアを見ると
どうやら1-0で
うちのチームが勝ったらしい。

もうスタンドには誰もいない。
夕日が傾いている。


でも、私は動けずにいた。


あいつは、
担架で運ばれてしまった。


でも、私は動けずにいた。


必死に考えた。

考えたけれど…、
あいつの様子を見にいく
理由を見つけられないのだ。


「どうして?」


素直になれない自分が
スタンドにうずくまっていた。
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