君の左手が気になるのは、なぜだろう?
サッカー部マネージャー
うちのサッカー部は、
それほど強いわけでもない。
というか興味がなかった。

部室に訪れたのは初めてだ。
乱雑に道具が散らばっていて
埃っぽい。

そんななかに男友達とともに
ヤツがいた。
目を丸くして、

「おー、ホントに来た!」
と大げさに喜ぶヤツ。

「あたしじゃないし」と
連れてきた友人、樹里の背中を押す。

「樹里、サッカー好きなの。
マネージャーやりたいんだって」

樹里は紹介されて
突然ペラペラとサッカー愛を
語りだした。

「じゃ、紹介はしたから」
と去る私。

「え?ちょっと待てよ?」
そんなヤツの声を背中に聞きながら
部室の外へ出た。

隣の席の義理は果たした。
男は、信用しない。もう二度と。


< 4 / 17 >

この作品をシェア

pagetop