お嬢様の執事
あたしが通う【私立 星華学園】は国内有数お金持ち学校
いわゆるセレブが集まる高校だ。
別にセレブ学校じゃなくてもあたしは楽しいならどこでもいいんだけどね。
『ところで篠原。後何分で付きそう?』
「はい。後五分程で到着します。」
『五分?わかったわ。くれぐれも遅刻なんてしないように安全運転でお願い。』
「かしこまりました。」
なんであたしがこんなに急いでいるかと言うと…
___3日前___
『ねぇねぇ楓!いよいよだねぇ~♪』
『…なにがいよいよなの?』
それはお昼休みの事だった。
あたしの親友 橘 美紀《タチバナ ミキ》が突然言い出した。
「今日の朝会の話聞いてなかったの?3日後に新しい執事が専属されるのよ。とうとう私達にも専属執事がつくのね~♪」
『あぁ専属ね……って専属執事!?』
ない。ないないない!!!
あたしは篠原だけで充分だっての!
「はぁ…楓…。あんたが篠原さんを大好きなのはわかる。」
いや、大好きではない。…ってかわかるんかい!
「そりゃあんだけ優しくて可愛いおじいちゃんが執事なのはめっちゃ羨ましいよ!?でもね…いつかは死んじゃ『死ななーい!!てか殺すな!』」
「…ともかく!専属執事がつけば色々と便利なの!楓が苦手な勉強だって教えてくれるかも知れないし、楓が苦手なお料理、お作法だって…」
『苦手じゃない!…ただ…や、やらないだけよ!』
「ふぅん…。ま、いいわ。要するに専属執事が私達につくのは3日後だから。遅刻とかしたらいいの奪われちゃうからね?」
この後、美紀の話を聞いていると(単にあたしが朝会聞いてなかったってだけなんだけど…)
この学園には入学したら生徒一人一人に専属執事がつくことになっている。
星華学園の姉妹校【流華学園】から優秀な執事・メイドが派遣されてくるらしい。どうも流華には【執事科】があるとか…
なんでも抽選らしいので早めに行かないとダメなんだとか。
___現在___
「到着致しましたお嬢様。」
『ありがと篠原。行ってきます!』
「はい、行ってらっしゃいませ」
抽選会場(?)らしい教室は生徒で溢れかえっている
『しまった…出遅れた…!』
このままじゃホントに余り物になってしまう。
それだけは避けたい。
すると…
「楓様!」
「あ、楓様だわ!」
「今日もお美しい…」
『おはよ』
ニコッと笑ってみせる。
「なんて可憐なんだ…」
「おい、道をお開けしろ!」
たちまちあたしの前に道が出来る。
なんでだ…
「はーやっぱスゴいね楓は…あ、楓様かっ」
『美紀まで…やめてよね』
正直、こんなに騒がれるのは好きじゃない。
威張るのだってしたくないし。
「ホンっっト楓ったらお嬢様ってしないわよね。」
『~~っ!うるさい!さっさとひいて帰ろ!』
あたしは乱暴に抽選箱の中に手をいれた。
もーいいわ。誰が執事になってもあたしには関係ないわ。
ひいた紙には 【Cherry tree】 と書かれていた。
『桜の…木?』
なんだこりゃ。