恋、教えてください!
「ねえ、お姉さん」

「あ、ごめんなさい」

 再び呼びかけられハッと渚は我に返る。

 勿論、七年前の少年はそこには居ない。

 代わりに目の前に立つ少年は金髪で今時の男子には珍しく少し長めだ。

 また身長も七年前の少年のそれとは50センチは違うだろう。

 150センチの渚が首を思いっきり上げなければ彼の顔を正面から見ることはできない。

 言葉は同じだが、七年前の可愛らしい少年と似ても似つかない。

 そんな大きな少年は地味な渚には関わったことがあまりない人種だ。

 そのため自然と緊張してしまい言葉もかたくなる。

「ここの先生?」

 その言葉に渚の気持ちが少しゆるむ。
 
「あ、うん。明日からね」

「新任の先生なんだ」

「君は何年生」

「俺は4月から1年生。新米同士よろしくね」

「よろしくね」

 そんな渚の言葉を待たずに少年はトコトコと校門の横から出て行った。

 
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