ビー玉
お昼を過ぎると風が出て、その風と共に“けんちゃん”がよく遊びに来た。





けんちゃん、とは祖母の隣りの家に住んでいた男の子のことだ。









玄関のベルをカランカランと涼しげに鳴らして、





「おばーちゃんあそぼー」





と家に上がってきたけんちゃんを初めて見た時、



その肌の白さにあたしはとても驚いた。










茶色い髪に、細い腕。






大きなまぁるい目。






赤い唇――――











けんちゃんは、それまでのあたしの短い人生で知り合えた人達の中で、郡を抜いて一番に綺麗だった。









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