月のあかり
 
「本当にそっくりなんだね」
 
 さすがに、どっちが満央なの? とは聞けなかったが、少しだけ笑顔の中に垣間見れる幼さで、左に写ってるのが満央だと分かった。
 
「お姉ちゃんは、この写真を撮った3日後に亡くなったの」
 
「‥‥そうなんだ」
 
「だから最期の写真だったし、お姉ちゃんの温もりが、まだこの写真の中に残っていそうな気がするの」
 
 満央は自分にとってそれが凄く大切な写真であり、今まで他人には誰にも見せたことがないと言ってくれた。
 なぜ満央がその大切な写真をぼくに見せてくれたのか分からなかった。
 多分そうすることによって双子のように似ていたことを証明したかったのと、顔が似ていただけで、自分は姉とは別人であり、高梨と何の関係もないことを、さりげなく訴えたのだろう。
 同時にその意味は、大切なものを見せれる良き理解者として、ぼくのことを信頼してくれている証しなのだと思う。
 
 ぼくが悟ったように深く頷くと、満央はいつもの仕草でコクリと頷き返し、言葉のいらない二人の会話を成立させてくれた。
 
「ねえ、ちょっと歩こうよ」
 
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