月のあかり
2
ぼくたちは約束をしていた。
あかりは終電までのアルバイトだから、お店の閉店時間とは関係なく、23時半には仕事を終えてお店を出てくることになっていた。
こういうお店は料金が時間制で区切られている。
1時間の制限時間では彼女とのひと時が満足出来る訳もなく、かといって時間延長を出来るほど、単なるサラリーマンのぼくの懐に余裕があるはずもない。
あかりも「余計なお金を使わせたくないの」と言って、ぼくを宥めるように声を掛けてくれた。
「嶋さんと、もう少し話したくて‥‥‥」
さらにそう言って、これは接客の延長にあたる『アフター』と呼ばれる業務的な付き合いではなく、あくまでも仕事が終わったあとのプライベートな時間であることを強調してくれた。
「お待たせです」
お店の薄暗い裏口から出て来た彼女は、月明かりに照らされてニッコリと笑顔がこぼれる。
彼女の服装はジーンズとグレイのトレーナーで何だかパッとしないけど、逆にいえば小ざっぱりとした清潔感と、生真面目な女の子の独特なオーラがみなぎっていた。
ぼくたちは約束をしていた。
あかりは終電までのアルバイトだから、お店の閉店時間とは関係なく、23時半には仕事を終えてお店を出てくることになっていた。
こういうお店は料金が時間制で区切られている。
1時間の制限時間では彼女とのひと時が満足出来る訳もなく、かといって時間延長を出来るほど、単なるサラリーマンのぼくの懐に余裕があるはずもない。
あかりも「余計なお金を使わせたくないの」と言って、ぼくを宥めるように声を掛けてくれた。
「嶋さんと、もう少し話したくて‥‥‥」
さらにそう言って、これは接客の延長にあたる『アフター』と呼ばれる業務的な付き合いではなく、あくまでも仕事が終わったあとのプライベートな時間であることを強調してくれた。
「お待たせです」
お店の薄暗い裏口から出て来た彼女は、月明かりに照らされてニッコリと笑顔がこぼれる。
彼女の服装はジーンズとグレイのトレーナーで何だかパッとしないけど、逆にいえば小ざっぱりとした清潔感と、生真面目な女の子の独特なオーラがみなぎっていた。