月のあかり
第2章 ボウリングデート
3
翌週の土曜日。
ぼくとあかりは駅前の交番前で午後4時に待ち合わせをした。
まだ4時前だったけど、駅前通りは休日の若者や買い物帰りの人ゴミでごった返していた。
待ち合わせの時間がきた。
しかし交番前にはあかりの姿は現れなかった。
5分が過ぎ、
10分が過ぎた。
ぼくは携帯電話を開き、あかりからの連絡を待った。
先週デートの約束をした際にメールアドレスを教え合い、その後は毎日のように『おはよう』とか『おやすみ』とか『いま何してるの?』なんて在り来たりの、それでいてどこかもう恋人気分な連絡のやり取りをしていた。
もちろん今朝もメールで、今日のデートの確認をしたばかりだった。
そんなはずはない‥‥。
今日までの一週間、彼女はぼくに調子を合わせ、偽りの約束をしたというのだろうか?
いや、きっと何かの事情で彼女は遅れているだけだ。
そう自分に言い聞かせ、もう一度《そんなはずはない》と心で呟いたあと、たかだが10分余計に待っているだけでこんなにも不安におののくぼくは、何て臆病で小心者なんだろう‥‥という自虐的な思考がすぐに追随した。
すると、虚ろな感覚で行き交う人ゴミを眺めていたぼくの手の中で携帯電話が振動した。
翌週の土曜日。
ぼくとあかりは駅前の交番前で午後4時に待ち合わせをした。
まだ4時前だったけど、駅前通りは休日の若者や買い物帰りの人ゴミでごった返していた。
待ち合わせの時間がきた。
しかし交番前にはあかりの姿は現れなかった。
5分が過ぎ、
10分が過ぎた。
ぼくは携帯電話を開き、あかりからの連絡を待った。
先週デートの約束をした際にメールアドレスを教え合い、その後は毎日のように『おはよう』とか『おやすみ』とか『いま何してるの?』なんて在り来たりの、それでいてどこかもう恋人気分な連絡のやり取りをしていた。
もちろん今朝もメールで、今日のデートの確認をしたばかりだった。
そんなはずはない‥‥。
今日までの一週間、彼女はぼくに調子を合わせ、偽りの約束をしたというのだろうか?
いや、きっと何かの事情で彼女は遅れているだけだ。
そう自分に言い聞かせ、もう一度《そんなはずはない》と心で呟いたあと、たかだが10分余計に待っているだけでこんなにも不安におののくぼくは、何て臆病で小心者なんだろう‥‥という自虐的な思考がすぐに追随した。
すると、虚ろな感覚で行き交う人ゴミを眺めていたぼくの手の中で携帯電話が振動した。