広い背中
なんてイタイ女なんだろうか。

あー耐えられない!

私は頭を抱えてブンブンと首を振った。

突然おかしな行動をとった私を誠はあきれた表情で見やり、それでも放っておくのが一番だとでも思ったのか、何も言わずに私の向かいに腰を下ろした。

「なんで俺を避けたんだ」

単刀直入に切り出された質問に、私はうろたえざるをえなかった。

だから、それは思い出したくなかったのに!

でもそんなことを言っていても、もう言い逃れは出来ない。

一見穏やかに切り出したように見えるけど、さっき見た眼の奥にある怒りはまだ消えていない。

叱られることはよくあったけど、こんなに本気で怒られたことはなかったように思う。

だからこそわかるんだ、これは最終通告だと。

俺を避けるなんて許さない。

そんな威圧感がびしびしと伝わってきた。

それでも私は素直に言えなかった。

誠は私を好きだと思っていたのに、違ったみたいで悔しかったから。

なんて堂々と言えるほど、私は恥知らずじゃないし図太くない。

そもそも素直にいえないから、こんなことになっているのに、追い詰められたからって、そんな簡単に素直になれるわけがない。

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