TABOO 短編集
私が好きなのは、人だ。
探し物が見つかったときの、あの嬉しそうな顔。
「今日はコレ」
有賀さんが私を見て首を傾げる。
「茜ちゃん?」
「ああはい」
メモを受け取って本の情報を検索し、棚に向かった。
無言の私を彼が慌てて追いかけてくる。
「どうしたの、今日は忙しい?」
「いつも忙しいですよ」
そっけなく答えて足を止める。
見上げた先に目的の物があった。
「ここに――」
取ろうとした瞬間、背後から伸びてきた手に本を奪われる
。