TABOO 短編集
「高瀬君、みんなが」
「誰も見てませんよ」
異動する同僚が結婚話まで暴露して注目を浴びていた。
すべての視線の陰で、彼は熱い口腔に私の指先を含もうとする。
「だ、だめ」
「彼氏がいるから?」
ペアリングに歯を立て、
「こんな指輪は枷にならない」
彼は私の指をねぶった。
「一線を越えるかどうかは真央さん次第、でしょ」
うごめく舌先に戒めは脱がされ、
「高瀬、く、ん」
火照った吐息とともに、テーブルの下に転がった。
END