TABOO 短編集
司書の仕事は意外と大変だ。
図書イベントの運営や企画をしたり、見た目より過酷な本の管理作業では、埃やカビで気管支炎になる同僚も多い。
「いい加減辞めろよ、そんな仕事」
煙草をふかしながら、亮は面倒そうに吐き出した。
「待遇悪いし。お前もちょっと喉やられてんじゃん」
「でも、好きだから」
「本が好きなら書店でいいだろ」
そう言って、ふいと背中を向けた。
「つか、図書館の本て汚くね? 何がいいのかさっぱりわかんね」
私の仕事を、この彼氏は理解してくれない。