助けて
微かな石けんの匂いが玄関先まで響き渡る優しい香り。


「お昼ご飯、まだだよね。
皆で食べよう」


っと目尻を下げてありさの言葉を遮るように、言った。



石鹸の匂いで、早紀ちゃんが風呂に入ってたのが分かり、鼻をひくひくさせた。


風呂場から出てきた早紀ちゃんは、黒くてくせ毛の髪が濡れて、つるんとしたなめらかな肌に独特の艶かさ。


肩にバスタオルが巻かれてる可愛い早紀ちゃんがひょこっと姿を表した。



可愛いさの中に引き付ける円らな瞳が見え隠れしてやりたいって気持ちになる。

ありさの手前、出来ない。

ごっくんと生唾を飲んで、早紀ちゃんの体を舐めままわすように見つめたら、俯き加減で弱々しい姿にうっとり。


ありさは、何食わぬ顔で、居てるのを見ると知ってるのかって思うが、聞く事は、出来ない。


「うん、美味しそうだね。
食べよう」




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