助けて
家の形も見えないぐらいの距離まで歩いて来て背後から車は、間違えようがない。
ブルーハワイ色のスポーツカーが疾風の車とそっくりで疾風が乗ってるのでは、疾風では、ありませんようにと願った。
捕まる訳には行かない、捕まったら、恐怖で、声を殺して、疾風の思い通りに、怯えながら暮らすのは、嫌。
ブッブッとクラクションが鳴った。
普通さ、端っこに寄って歩いてる人にクラクションを鳴らさない。
鳴らすって言う時点で疾風だと思って、恐怖心と走って、背中にじわりじわり汗をかきながら走るが間に合うか、分からないし諦めたくない。
車が走れない小道に向かって全力で走って、あ、ボストンバックの重みが早紀の肩にのしかかる。
ボストンバックは、投げ捨て。
何よりも逃げたい。
逃げなくては、
捕まりたくない。