助けて
首を縦に振って早紀は、返事をした。
「体温計を出して貰えるかなぁ」
と業務的な声で時々、見せる柔らかな表情が早紀は、落ち着く。
脇にはめてた体温計を取り出して柚木さんに渡した。
「早紀ちゃん、平熱だったよ。
何処に行こうと思ってたの?」
と早紀の座ってるソファーに座ろうとしてる。
早紀は、ソファーに置いたミニを抱きしめて柚木さんを座れるようにした。
「有り難う」
と満面の表情でソファーに座る柚木さんを見ながら少し不思議に思った。
看護婦って普通、こんなんだろうか。
「話はそれたけど早紀ちゃんのストレスになる原因、何か分かる」
言いたいが信じて貰えないような気がする。
喉の奥まで出てるが言葉を飲み込んだ。
「分からない」
と下を向き出てきた言葉は、
『分からない』
それが早紀の精一杯。