助けて

首を縦に振って早紀は、返事をした。


「体温計を出して貰えるかなぁ」

と業務的な声で時々、見せる柔らかな表情が早紀は、落ち着く。



脇にはめてた体温計を取り出して柚木さんに渡した。


「早紀ちゃん、平熱だったよ。
何処に行こうと思ってたの?」


と早紀の座ってるソファーに座ろうとしてる。



早紀は、ソファーに置いたミニを抱きしめて柚木さんを座れるようにした。


「有り難う」


と満面の表情でソファーに座る柚木さんを見ながら少し不思議に思った。


看護婦って普通、こんなんだろうか。


「話はそれたけど早紀ちゃんのストレスになる原因、何か分かる」



言いたいが信じて貰えないような気がする。



喉の奥まで出てるが言葉を飲み込んだ。



「分からない」

と下を向き出てきた言葉は、


『分からない』

それが早紀の精一杯。






< 82 / 236 >

この作品をシェア

pagetop