恋愛コンプレックス
その先生の肩に手を置いて
背伸びをして耳元まで近づく。
「・・・ねぇ。先生?」
「・・なんだ?」
ったく。思いっき雰囲気に乗りやがって。
ていうか私こそこんな甘い声出したかねぇよ。
そして、思いっきり声色を変えて
冷徹な声でささやく。
「生徒にこんなことしちゃって。教育委員会は、
・・・・・見逃してくれますかね?」
「・・なっ」
そいつの顔が一気に青ざめる。
フフフッ。
愉快だな?
・・・なんて悪魔だ私は。
「これで心が傷つけられたとか生徒もいるんじゃないですか・・・?私もその一人になりましょうか?先生が望むなら、ですけど。私傷ついて、自殺とか、しちゃうかも・・・。」
「-っ!な、何を言ってるんだよ?早く入学式に行きなさい・・!」
来た。
ここまで引っかかってくれるとはなぁ。
「はーい。」
私も私で腹黒すぎたか?
・・・まぁ
正当防衛だろ。
「・・・おもしろっ」
この声も、梨乃には聞こえなかったのだ。