恋愛コンプレックス
「っ離して・・・!」
どんなに力をいれても離してくれることは無くて。
やばい。
このままだと─────。
「おい」
頭上から男の声が聞こえてきた。
上を見ると
町田がいた。
「この子俺の連れなので。
行こっか。」
男の手を簡単に私の手から振り払って、少し離れたところに向かう。
「ま、町田・・・!?なんでここに・・・」
人も少し少なくなったところで、私も町田も立ち止まる。
「あはは・・・ごめん。
家族と来ててさ。それで天瀬さんが見えたから、つい・・・」
町田は申し訳なさそうに自分の頭をポリポリ掻く。
「・・・長谷川と、白羽さんと来てるの?」
ドクン
なぜかわからないけど、心臓が嫌な感じで大きな音を出す。
「あ、あぁ・・・」
すると町田は少し寂しそうな顔をして、こう言ったんだ。
「長谷川のこと・・・好きなの?」