恋愛コンプレックス
雫はなんの感情の読み取れない笑顔だ。
現実が胸に突き刺さる。
みんな帰り、雫と華恋、そして私しかいない校庭が、ときが止まったように静まり返る。
「ごめん」
静かな空間に、私の声が聞こえた。
「今まで、ずっとずっと、支えてもらって、たくさん応援してくれて。
私、何も返せてないし、あげくのはてに、あんなこと言っちゃって」
私の目に、涙がたまる。
あふれでるのは、食い止めたいけど。
「私まだ、長谷川が好きみたい。
二人のおかげで、やっと気づけて」
「だったらこんなことしてないで長谷川のところ言ってきなよ・・・」
冷たい雫の言葉が、私の言葉を遮った。
でもそんなの、いまはいい。