恋愛コンプレックス


雫はなんの感情の読み取れない笑顔だ。



現実が胸に突き刺さる。



みんな帰り、雫と華恋、そして私しかいない校庭が、ときが止まったように静まり返る。







「ごめん」




静かな空間に、私の声が聞こえた。





「今まで、ずっとずっと、支えてもらって、たくさん応援してくれて。


私、何も返せてないし、あげくのはてに、あんなこと言っちゃって」



私の目に、涙がたまる。



あふれでるのは、食い止めたいけど。




「私まだ、長谷川が好きみたい。

二人のおかげで、やっと気づけて」




「だったらこんなことしてないで長谷川のところ言ってきなよ・・・」



冷たい雫の言葉が、私の言葉を遮った。





でもそんなの、いまはいい。








< 297 / 374 >

この作品をシェア

pagetop