私と後輩くん。

 「それじゃ、お疲れ様でした」

 私の手を握り走り出す後輩くん。こういう時でさえ挨拶を忘れない彼は真面目な性格だからだろう。

 旧体を飛び出し、校門あたりまでくると握られた手は自然と離された。

 「・・・・・・先輩は歩きですか?」

 「う、うん・・・・・・そうだけど」

 突然の質問に戸惑いながらも頷く。

 「ふーん。俺自転車です」

 いいだろ、と言わんばかりのドヤ顔。

 「べ、べつに・・・・・・」

 「あ、ゆずはーっ・・・・・・?」

 私が喋ろうとしたとき、背後から聞こえた柚希の声に振り返った。

 「ゆず・・・・・・は?」

 柚希は私と後輩くんを交互に見合わせ口元をつり上げる。

 「ま、まさか!」

 
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