あたしだけの温もり
「樫木、わからないことがあったら神凪に聞け」

「はい、ありがとうございます」

「えーでは、HR終了!」

 りっちゃんが教室から出ていき、教室内がうるさくなった。

「よろしく、神凪さん」

 ニコッと微笑まれ、樫木は自分の席に着いた。

 周りの生徒が樫木の席に集まり、あたしは隣の席の千織と共に教室を出た。

「まさか転校生が来るなんて、知りませんでしたね。びっくりです!」

 いつもより少しテンションの高い千織を無視し、あたしは歩き出した。

「また屋上行くんですか?」

「うん、暇なら来なくていいけど?」

「・・・いえ、侑珠希一人を置いてくわけには行きませんから!」

 「いや、置いていかれるのあんただから」と、心でツッコミを入れながらあたしは廊下を歩き、屋上の階段を登った。

 屋上までの階段を登り切り、扉を開けると朝と同じ冷たい風があたしの頬を掠った。

 朝より綺麗に晴れた青空を見上げながら、あたしは前へ少しずつ進み、ママとパパに挨拶をした。

「ママ・・・パパ、おはよ・・・」

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