アウトサイダー
心の奥に
「紗知ちゃん」
「はい」
「今度の日曜、どこかに遊びに行かない?」
千島さんが私を誘ったのは、きっとしびれを切らしたからだろう。
yesともnoとも答えられない私は、その申し出まで断る勇気がなかった。
結局、迎えに来てくれた千島さんの車に乗った。
母は丁寧に私たちを送り出してくれた。
とても、うれしそうに。
コウさんも、きっと私たちの中がうまくいっているのだと思っているのだろう。
最近はとても上機嫌だ。
「ごめんね、強引に誘って」
「いえ、そんなこと、ないです」
それから彼は、私を水族館に連れていってくれた。
ふたりで並んで見たイルカのショーは、本当に楽しかった。