アウトサイダー
「千島さん、私、こんな人間なんです。
だから、千島さんにそんなに優しくされては申し訳ないんです」
思わず本当の事を言ってしまった。
彼が真剣に私にぶつかってきてくれているのがわかったから、私もそうしないと失礼だと思ったのだ。
「そっ、か……」
彼はそう言った後、夕焼け空を見上げて、はーっと息を吐いた。
「紗知ちゃん」
「――はい」
「その彼の事、今でも?」
「そう、なのかもしれません。
だけど、忘れなきゃ。もう二度と会えないのに」
自分に言い聞かせるように、その言葉を吐きだす。
「それじゃあ、俺が忘れさせてあげる」
「えっ……」
その言葉と共に、私は彼の腕の中にいた。