アウトサイダー

「俺、努力する。
きっと紗知ちゃんに、俺を選んで良かったって言わせてみせる。
絶対にその彼を忘れさせる。だから……」

「千島、さん……」


勝手に涙が溢れた。
それがなんの涙なのかは、自分でもよく分からないけれど。


「紗知ちゃん、俺を選んで?」


耳元で響く彼の声も、微かに震えている気がする。

止まらなくなってしまった涙は、彼のシャツに吸い込まれて――。


そして、私は決めたんだ。
彼の手を取ることを――。