アウトサイダー

きっと私の複雑な過去も聞いているのかもしれない。

ひたすら優しく包み込んでくれているような彼の腕の中は、本当に居心地が良かった。



初めて彼とキスを交わしたのは、期末のテストが終わって、やっとデートに出かけた時。
私の大好きな海に連れて行ってもらって、ごく自然に。

海風を感じながらしたキスは、ほんのり潮の味がした。


彼と一緒だと、心穏やかに過ごせる。
こんな感覚は、彼と――太陽と過ごして以来だ。

どうしても、彼と比べてしまう。
いけないと分かっていても、どうしても。

だけど……忘れなきゃいけないことも、十分すぎるほど分かっていた。


こうしてすべてを受け止めてくれる彼に、もっと心を開かなければ……。


< 127 / 576 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop