アウトサイダー
千島さんは、そんな私に気がついていたのかもしれない。
無事に就職も決まって専門学校を卒業できたその日、彼は私を旅行に誘った。
コウさんも母も快く賛成してくれて、私たちはとある温泉に行くことにした。
その温泉はさほど有名ではないものの、一度行くとまた行きたくなるなんてガイドブックには載っていた。
海にほど近いそこは、食事も海の幸がいっぱいで美味だとか。
行く前からふたりで妄想を膨らませ、それだけで楽しいくらいだった。
彼の愛車に乗って海岸沿いの道を通りかかると、太陽の光を反射して煌めく海に目を奪われる。