アウトサイダー
コウさんに結婚という言葉を口にされたときの動揺と同じ気持ちが、私の中を駆け巡る。
「あのっ、でも……」
「紗知、まだ彼の事忘れられない?」
「えっ……」
「忘れさせる」
そう言って少し強引なキスをする。
彬さんに気がつかれていた、私の胸の内。
私は、彼のキスを受け入れるしか……なかったんだ。
そのままもつれるように押し倒されて、彼が私の唇を割って入ってくる。
「紗知……」
耳元で囁かれる私の名。
彼がゆっくり私の浴衣を剥いでいく。
温泉のおかげなのかふたりの体は温かくて。
胸元を大きく開けて彼が舌を這わせ始めたとき、私はゆっくり目を閉じた。