アウトサイダー

彼との生活は、本当に楽しかった。


私の職場と彼の職場との丁度中間地点に、私たちはマンションを借りた。

築3年という新しいマンションは、どこもかしこもピカピカで、ふたりで一からそろえた家具も食器も……私たちの気持ちを高揚させるのに、十分だった。


「紗知、明日から大丈夫か?」

「うん。ちょっと緊張してる」

「皆そうだから。紗知なら大丈夫だよ」



いつもそうやって安心をくれる彼は、真新しいベッドで私を抱いた。

冷たいシーツが体に直に触れる度ビクッと震える私を、温かい手で抱きとめる彼。


「紗知、俺をもっと求めて?」


彼がそんなことを口にしたのは初めてだった。

もしかしたら、彼も不安だったんだろうか。
こんな風に強引に、同棲という道を選んだことを。


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