アウトサイダー
第3章
社会へ
社会人の一歩は、お洒落なビルの一角にあるオフィスから始まった。
資格を取ったとはいえ全く実戦でのキャリアのない私は、ただひたすらに先輩たちの雑用に追われる。
けれどその所々で、先輩たちが見せる満足そうな顔を見て、私はこの仕事に就いたことを誇りに思った。
永沢建築事務所。
私が就職したここは、1級建築士3人と、インテリアコーディネーター1人。
そして、事務員1人。そして、私。
小さな事務所だけれど、結構有名なところらしい。
その中の一番年長の建築士の永沢(ながさわ)さんは、数々の賞を受賞した、まさにプロだった。