アウトサイダー
「すみません、変なことを……」
「いやいや、事実だから。
仕事が面白くてさ、奥さんほったらかした俺がいけないんだし」
そんなことを笑いながら言う永沢さんは、もう気持ちの整理がついているのかもしれないと思った。
「それより、これ、美味い!」
彼は私の弁当箱から大きめの卵焼きを取り出して、口にした。
「ずっと母子家庭だったので……」
そんなことをポロッと洩らせたのは、同じような痛みを抱えていると感じたからなのかもしれない。
「そうだったな。
でも、今、こんなに美味い料理ができるんだから、悪いことばかりじゃないだろ?」
「えっ……」