アウトサイダー
はぁ
欲しいものなんて、見当たらない。
もっと気軽におねだりできると思っていたのに、こんな値段じゃ……。
少し疲れて、カフェでお茶をすることにした。
紅茶を頼んで周りに目をやると、若い数組のカップルと女の子3人の集まり。
楽しそうに話をしている様子は、私には欠落していたものかもしれない。
私には、こういう時間がなかった。
彬さんと出会って、やっと人並みのデートもした。
だけどあまり人ごみの得意でない私を気遣って、彼はこういうところには来なかったから。
携帯が鳴った気がして鞄を覗くと、肌身離さずずっと持っているそれに触れてしまった。
まだ、一度もその本来の使い方をしたことがないそれ。
太陽からもらった――。
楽しそうなその空間にひとりでいることがいたたまれなくなって、紅茶を少し残して店を出た。