アウトサイダー
ろくに仕事もしないうちにあっという間に時間は過ぎて、皆、出払ってしまった。
「紗知、どうした?」
「えっ、あっ……すみません」
なにもできない私を見かねたのだろう。
永沢さんが話しかけてきた。
「紗知……お前、子供部屋、辛いか?」
「えっ?」
「名字が変わったのは、お袋さんが再婚したからなんだろ?
ということは、その前に離婚があるという事だ」
「――はい」
永沢さん自身も離婚を経験している。
彼に子供はいなかったと言うけれど……。
「辛いなら、やらなくていい」
それは、私を労わったような、それでいてどこか突き放したような声だった。