アウトサイダー
「彼が教えてくれました。
きっと私たちには明るい未来があることを」
私がそう言うと、永沢さんはにっこり笑って、私の頭をポンと叩いた。
「それなら作るぞ? 紗知の理想の空間を」
「はい」
そうだった。
私は空想を現実にするために、この道に足を踏み入れた。
太陽と一緒に空想したあの大きな家を、現実にするために。
過去のしがらみにとらわれて、楽しそうな家庭を羨んで……。
そんなことをするために、私は勉強してきた訳じゃない。